旅の可能性が広がるホテル
私たちにとって旅ってなんだろう。
旅は自分自身をもっと知るきっかけをくれる。
そんなきっかけは心を豊かにしてくれるのだ。
自身への思いやりがホテルのおもてなしと重なりその土地の魅力へと繋がる。
はじめましてなのに、はじめましてじゃない。
それはずっとここに建っていたような安心感。
Southwest Grand Hotelはそんな魅力がシティーにいながら感じられるホテル&レストラン。
一つ上の寛ぎに心を委ねて。
ローカルに溶け込みながら少しだけ非日常を体験する。
旅上手なゲストを迎えてそれぞれの「旅」についてお話を聞いていくシリーズ。
第一回目のVoiceはフォトグラファー兼アパレルブランドの経営も手がけるATSUSHI SUGIMOTOさん。
エレベーターが開いた瞬間出迎えてくれた煌々と輝く「The Sailor’s Club 」のネオンサイン。
そのサンセットバーにはジャズやブルースにまつわるカラフルなアートが壁を華やかに飾り、対局的に落ち着いたトーンのインテリアが全てのバランスを上質な空間に仕上げていた。
ここは那覇ど真ん中にそびえ建つSouthwest Grand Hotelの11階。
国際通りから一本入った通りにあり、窓から那覇のシティーが見渡せる。街の喧騒から離れて現れたこの空間は、なんだか突然NYのスピークイージーに迷い込んだようだった。
旅をするときは敢えて全く行き先のリサーチをせず、予定もたてないという杉本さん。
「初めて行った場所から受けるインスピレーションのまま写真を撮りたいんですよね。」
そういうと爽やかに笑いながらお話ししてくれた。
フォトグラファー兼アパレルブランドの経営も手がける杉本さんが沖縄に移住したのはかれこれ10年程前のこと。大阪出身で若い頃からアルペンスキーの選手だったこともあり、ヨーロッパやカナダなどの海外生活の経験が豊富。怪我によりアスリート人生に終止符を打ち、そこからサーフィンを通してハワイやバリ、オーストラリアなどで海などの写真を撮るようになった。
雪の世界から海の世界へと華麗なる転身をした杉本さん。
「大阪でもアパレルのお店をやっていたのですが、海が全くない環境だったこともありましてね。元々ハワイやバリなどの島へ行き来していたこともあり、パスポートが必要なく、海がキレイな沖縄が好きで移住しました。」
杉本さんが拠点に置く恩納村は那覇よりもっと北にある。車で大体1時間半はかかるがとにかく海が美しい。びっくりするほどいろんな色の青が輝く海好きにはたまらないスポットだ。
実は沖縄は縦長のため、ここ那覇のようなシティーもあれば、はたまた豊かな自然に溢れる最南端や最北端と全く違う表情が楽しめるのも沖縄の魅力。
「縦長の中にオンとオフがはっきりあるので、沖縄に来た際は旅の中でどちらも味わってほしいですね。」とソフトな声で語る杉本さん。
マインドをオフにしている時にみる夕日は記憶に残りやすいという。
オンにしている時だと、その場の情報が頭に入ってきてしまい記憶に残らない。
そんなボーっとオフにする練習ができると旅が更に豊かになる。
そう話すとほほえんで頷いた。
旅のお供はやはりカメラ。
普段から日常の中ですぐ撮れるように小さいカメラをいつも持ち歩くようにしているという杉本さん。感覚を研ぎ澄ませて撮るタイミングは逃さないのだろう。
実は杉本さんがとらえる写真は風景が多いという。
「人が入っていると物語が完成してしまうんです。」
「写真は楽しみ方が人それぞれ。その写真を見る人がストーリーに入り込めるようにしています。悲しい時、楽しい時、どんな時に入り込んでもいいし。自分はそういう楽しみ方が好きなので敢えてそのようにしています。」
彼の写真は見る人に委ねる。
そんな「余白」のような感覚は意識しないとなかなか生み出せない。
「旅先を知りすぎないようにしているのも、その余白を大事にしているからなんです。」
何事も付かず離れずの距離を保つ。
「人と触れれば触れるほどオシャレにしちゃうから。」
ここSouthwest Grand Hotelには宿泊者が使用できるサウナ、那覇が一望できるジャグジーと温水プールの施設が11階に完備されている。
普段から家でサウナを愛用しているという杉本さん。とにかく体を朝から温めることを大事にしているそう。
「庭でハーブを育てているので、ミントとかをブーケにしてそれを熱い石に乗せ、ロウリュウしてリフレッシュしています。」
ブーケガルニがまさかサウナで役立つとはびっくり。
健康管理も怠らないところがプロフェショナルだ。
「朝起きて、犬の散歩をして、ヨガして、サウナに入ってから仕事に行きますね。」
忙しい毎日でもルーティーンを作り、深呼吸する時間を設けている。
サウナに静かに入っている間、呼吸を緩やかに意識したりと、まるで坐禅のような環境が心も頭も整理してくれ、汗となって老廃物が出る頃にはスッキリする。
「宿泊先はけっこう空間や家具のセンスを見ちゃいますね。どういう意図で選んでいるのか、作られているのか。なぜそれを置いているのかとか背景を考えるのが好きです。」
Southwest Grand Hotelはインテリア好きにはたまらないミッドセンチュリーで揃えられた家具に数々のアートが、主張せずプレイフルなのに気品のあるまとまりを魅せる。
本当に好きな人だけが見抜くインテリアのセレクトも知る人ぞ知る楽しめるポイント。
「こういう本物志向のホテルがあると嬉しいですね。」
今まで歩んできたあらゆる「経験」が人を形成していく。
「旅もそう。いろんな景色とかアートとかを体感するには経験が大事なんです。自分の経験が体の中の五感を引き立たせてくれて、真っ直ぐ歩いていても気になるものが増えてくるんですよ。それが少ないと真っ直ぐ歩いちゃうから。」
今までの自分の歴史が全部生きてくるという。
それは昔アスリートだったからこその杉本さんなりの解釈。
自分にとことん向き合った選手生活や、挫折などの経験。
そして製作という過程でチームと分かち合う仕事での経験など。
仲間たちとの何気ない毎日。
まさに自分を知ることで、気づいていくことばかり。
全てひっくるめて何気なく道を歩いていても経験というレンズを通して彼は写真を撮っている。
旅はそれに気づかせてくれるのだ。
自分の「レンズ」ってどんなだろう。
旅は続く。
Guest: Atsushi Sugimoto
Photo: Makoto Nakasone
Interviewer/Text: Michiko Nozaki
Producer: Keita Shimabukuro(Blendwell.inc)
Director: Reiko Ushigome(Blendwell.inc)
こちらの記事は、新しい沖縄を楽しむためのメディア「Champlu」とのコラボレーション記事です。
https://champlu-media.com/2024/03/4075/